3776(みななろ)および石田ワールド探求の旅 その1

8月29日の夜、Riow Arai氏と3776(みななろ)のプロデューサ石田彰氏のUSTREAMがあった。
音声アーカイブは下記の通り。
https://www.mixcloud.com/riowarai/ustream20150829-riow-arai-x-akira-ishida-3776-producer/

4時間近くにもわたるUSTREAMの中で気になる発言は色々あったのだが、そのいくつかを手掛かりに、3776及び石田ワールドの探求を試みたい。

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Twitterを通じての私からの質問「アライさんから見て石田さんの作風は昔から変わったか?」
Arai氏の返答「遍歴はあったかもしれないがあまり変わっていない。僕から見て今3776でやっていることは石田君が100パーセントやりたいこと。」


■2000年頃?、石田氏に久々に会って最近何聴いてる?という話の中でArai氏が思ったこと、「相変わらずアイドルサウンド研究やってんだな。」
石田氏は一旦音楽の道をあきらめた後、その時だけコンペに応募しようとしていたとのこと。


■その一方、「最新のロック・ダンスミュージックを聴いて研究しているか?」との質問に、石田氏の返答「最新の音楽は余り聴いていない」。EDMという言葉も知らなかったようだ。

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USTREAMの後半、「アイドル選曲対決」というものがあった。
石田氏がアイドルの楽曲を4曲選び、それぞれに対してArai氏も選曲して対戦?するという方式だった。

4曲目に石田氏が選んだ曲
渡辺満里奈 / トロピカル・ジュース 作曲・編曲 山川恵津子、 作詞 秋元康

明らかにモータウンを下敷きにした楽曲だ。
Arai氏によると、石田氏は前から「山川恵津子」の名を挙げていたとのこと。

私も「山川恵津子」という名前に強く反応したのだが、山川さんの名前は確かこの辺りで知ったと思う。
http://d.hatena.ne.jp/snakefinger/20060820/p1

下記のイベントにも行って、第3部の内容は特に今回と関係するはずのだが、
その時、自分に前提知識が乏しかったせいか良く憶えていない(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/snakefinger/20091129/p1

同じく山川さん楽曲
おニャン子クラブ高井麻巳子)/ アンブレラ・エンジェル 作曲・編曲 山川恵津子、 作詞 秋元康

モータウンと、レトロでおしゃれなオーケストラの融合。

この時期の山川さんの参照先として挙げられているのがこの人。
Mari Wilson - Just What I Always Wanted

もう1曲
Mari Wilson - Ecstasy

モータウンを下敷きにしながら英国的というかニューウェイブ的。

Mari Wilson - The End Of The Affair

モータウンとレトロなオーケストラ風でありながら、ニューウェーヴ的。

マリ・ウィルソンが所属していたレーベルが「コンパクト・オーガニゼーション」。
ピチカート・ファイヴ小西康陽氏がコンパクト・メンバーシップの会員だったそうで、ポストパンク期のニューウェイヴと渋谷系ミッシング・リンクとして知られている。

そのコンパクト・オーガニゼーションの主催者がトット・テイラー。
Tot Taylor - An Appointment With You

戦前のミュージカル風4ビート。

Tot Taylor And His Orchestra - 1.The Chocolate Song

ニューウェイヴと古き良き音楽との癒合、英国っぽいというかグラムっぽい気もする。

マリ・ウィルソンと並ぶレーベルの看板、ヴァーナ・リント。
Virna Lindt - Attention Stockhom

B級スパイ映画のような設定は「女王陛下のピチカートファイブ」にコンセプト的にも音的にも影響を与えたに違いない。

そして、
3776(みななろ) / A∩B (AとBの積集合) 20分14秒から

モータウンでもありレトロなボードビル調でもありニューウェイヴでもある。

少なくとも、
石田氏 <--- 山川恵津子氏 <-- Compact Organization
石田氏 <-- ピチカート・ファイヴ <-- Compact Organization
という影響のルートが考えられるのではないだろうか。


ちなみに「A∩B」という変わったタイトルだが、うしろゆびさされ組の下記のアルバムには、タイトルに以下のように記号が使われているものが頻出する。
「○ OR ☓」○は円の中心に黒点、☓は円の中に☓
「πの悲劇」
「∞」(アンリミテッド)
上記3曲とも作詞は沢ちひろ氏。USTREAMでもちらっとだけ名前が出てきた。

∞(アンリミテッド)

∞(アンリミテッド)

なお、「∞」は石田氏がボサノバに目覚めた曲。その話はUSTREAMにも出てくる。
作曲・編曲は後藤次利氏。

続く。