2015/9/5 YeYe「そろそろソロ」名古屋編@金山ブラジルコーヒー


YeYeの曲が好きだ。
美しいコード進行と絶妙な転調感。オルタナ感溢れる、捻くれた構成でありながら、あくまでポップ。繊細でありながら、逞しさを感じる音。

いわゆる女性シンガーソングライターという枠にも、職人的な音楽家という枠にも収まらない、現在の日本を代表するミュージシャンの1人だと思っている。


そのYeYeが「そろそろソロ」と題したスタイルでのライブを今年6月から始めた。ギター以外に、ルーパーやさまざまな楽器を駆使するスタイルらしいと事前情報を得ていた。

アコギ1本でのソロのライブや、バンド編成のライブは今まで何度か観てきたが、前作の大傑作アルバム「HUE CIRCLE」からもう2年ほど経っているし、そろそろ次の展開を期待していたこともあり、さらに不覚にも東京での「そろそろソロ」を見逃してしまったので、今のうちに何としても観ておきたいと思い、名古屋に足を運んだ。


結論から言うと、本当に素晴らしいライブだった。


YeYeひとりで作詞作曲編曲、全楽器の演奏、プロデュースまで行ったデビューアルバムの曲。2013年のベストアルバムというだけでなく、2010年代の邦楽を代表するアルバムだと私が思っている、2ndアルバム「HUE CIRCLE」の曲。その他のEPに収録されている曲など、私が今まで聴き込んで来た数々の名曲・佳曲に新しい命が吹き込まれたように感じた。


ルーパーを使ったライブというと、最近では「3776(みななろ)Extended」を私はどうしても思い出してしまうが、それとはかなり違う。


ある曲は鈴の音をループさせながらギターを弾き、ある曲ではコーラスを生で重ねながらキーボードを弾き、ある曲ではギターのフレーズを重ねながら、ある曲ではグロッケンの音を添えて、実に「さまざまな色」の「技」を見せてくれる。

フィルターを掛けていく曲や、サンプラーで一部ブレイクビーツを披露する曲まであった。

いろいろな曲を演奏しても、同じ編成の曲が1曲もない。
やっぱりYeYeは天才だった。


しかし、主役はあくまで、YeYeが弾くエレキギターの音とYeYeの声だった。


ある時は指で爪弾き、ある時はピックを使わずヘビーなストローク。音の強弱やメリハリ、弦を叩いたノイズまで取り込んだ表現力の豊かさに参ってしまう。テクニックをひけらかすような部分は微塵もないのだが、このまま何年も経ったら、「ソロを弾かないJeff Beck」みたいになるかもしれないと思えるほどだった。

ロックでは珍しい、歪みのないクリアなエレキギターの音により、コードの響きがより美しく聴こえた。

ボーカルは、従来からの柔らかさに加えてパワフルさが増した。バンド編成ではないため、ひとつひとつの楽器や声の存在感を強く感じられた。


なぜ今このスタイルでライブを行うことになったのだろう?


YeYe本人のMCによると、元々いろいろな形でライブは行いたかったようで、(本人の言葉を使うと「野望」笑)デビュー当時のアコースティックギター1本の弾き語り、「おっさん達」がサポートするバンドセット、そして今回の「そろそろソロ」の形態の他、今後はコーラスのお姉さんとYeYeの声とギターの組み合わせや、バンドにコーラスとトランペットも加えた9人編成のライブも企画中とのこと。

バンド・メンバーが居ないMCでも、驚くほどに饒舌で、かなり暴走気味であった(笑)。本人も楽しんでいる証拠だろう。

ポップでありながら、これほど実験的で、冒険心と探究心に満ちた音楽をやっていることはもっともっと評価されていいと思う。

今後のYeYeの「野望」がますます楽しみになったライブであった。

<セットリスト>
・明日は来ないか
・He Doesn't Have Christmas
・あるある言いたい
・you are singing always
・TAO
・uminami(イントロだけ)
・言う
・新曲
・新曲(おそらくラリーレーベルのコンピに収録予定の「a girl runs」)
・Take us to Lithuania
・morning
・rainbow connection (カバー)
・Miserable
・ate a lemon(「YeYeバンドをリトアニアにつれてって」特典CDに収録)

アンコール
・(おそらく風博士のカバーだと思うが曲名不明)



2010年代の邦楽を代表する傑作2ndアルバム。

HUE CIRCLE

HUE CIRCLE

デビュー作も今聴き直しても素晴らしい。

朝を開けだして、夜をとじるまで

朝を開けだして、夜をとじるまで

今の所、「そろそろソロ」の動画は無いので。。。
最近再度観たMV。曲も、夢と現実を行き来するような映像も傑作。こういう曲がライブでどう変わっているかはライブに行ってのお楽しみ。