3776(みななろ)および石田ワールド探求の旅 その3

その2(http://d.hatena.ne.jp/absolute_empty/20150923/1442990345)からの続きです。

山川恵津子さんのことを調べているうちに下記の書籍にインタビューが掲載されていることを知った。

ラグジュアリー歌謡 (((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538

ラグジュアリー歌謡 (((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538

作曲・編曲家としての山川恵津子さんと、コンビを組んで数々の楽曲の制作を行っていた、シンセ・プログラマーの森達彦さんとの対談という形式だった。インタビューアは田中雄二さん。「電子音楽 in JAPAN」の著者でもあり、「その1」でも紹介したブログの作者でもある。
山川さんの音楽的バックグラウンドから、アイドルの楽曲提供を始めた経緯、楽曲制作の裏話までかなり突っ込んだことが書かれていて非常に興味深い。

そのインタビューの中で、山川さんが大半の楽曲を手掛けている、岡本舞子というアイドルがいたことを知った。

岡本舞子 / エデンの園

歌がとても上手く、パンチの効いた松田聖子だと思った。山川さんのアーバンなサウンドと非常にマッチしていて、ソウルフルにすら感じる。間奏の天空に舞い上がるようなストリングスがカッコいい。


岡本舞子 / ファッシネイション

ルックスも良いし、この動画も良いのだが、レコーディングされたサウンド(CD音源)は、シンセベースとドラムが印象的で、Rah BandがJam & Lewis寄りになったような音で、この動画の更に何倍もカッコいい。

(今の歌番組はTVを見ないので全然知らないのだが)昔のTVの歌番組は、番組用の生のフルバンドが付いていて、レコーディングされた音源と、オケが違う事を改めて認識した。お茶の間にはそんなエッジの効いた音は流れてこないため、アイドル・ソングのサウンドに対する認知度も評価も低かったのかもしれない。

話を3776(みななろ)に戻すと、石田さんはギタリストなのに弦楽器のベースの曲が1曲もない。全て打ち込みのベースと思われる。ギタリストがベースを弾くのは割と容易と思われるのに(実際他のバンドのライブの手伝いでベースを弾いたこともあるのに)、そういう曲が1曲も無いのは、山川さんからの影響、もしくは、この時代のシンセベースのサウンドの影響に強い影響を受けていると言えるのではないだろうか。


ハートの扉

ハートの扉

山川さんの初のアイドル仕事であり、全曲、山川恵津子さん作曲・編曲の岡本舞子のデビュー・アルバム。所々、いかにもアイドルっぽい部分もあるのだが、今聴いてもポップスとして古さを全く感じさせない良盤。


ファッシネイション

ファッシネイション

岡本舞子の2ndであり、オリジナル・アルバムとしてはラスト。
極端なイコライザとディレイの効いたギターのカッティングが印象的なメロウな1曲目「L.A. LOVER」は久保田利伸・羽田一郎作曲、山川恵津子編曲。間奏にマイナーになる流れは、Marvin Gaye / What's going on? を彷彿させる。そこから、2曲目の上記「ファッシネイション」に繋がる流れが最高。
1stよりR&B寄りになったこのアルバムは、アイドルの、というより、80年代ブラック・ミュージック・テイストのシティポップの傑作。山川さん編曲の曲以外は、尾崎亜美作曲/今剛編曲が4曲収められている。


さて、「ラグジュアリー歌謡」にはQlair(クレア)というアイドル・グループのプロデューサー、篠崎恵子さんのインタビューも掲載されていた。
Qlairについては名前も知らなかったのだが、何気なく読んでいると驚くべき記述にぶち当たった。

いちばん最後に、自分がやっていることが響かないな〜って、自爆して、"放射能漬けになったアイドル"、ってコンセプトで1曲作ったんですよ!シングルのカップリング曲で、(略)あまりに周りの反応がわからなくって。地球が滅亡して放射能漬けになったときに、存在しているアイドルっていうコンセプトにしたんです。

これは、3776(みななろ)「時空ラブレター〜アフター大噴火の世界の君へ〜」じゃないか!!!
こんな頭がおかしいこと(あくまで褒め言葉です)を石田さんの前に実行していたアイドルがあったとは!!


「時空ラブレター〜アフター大噴火の世界の君へ〜」は、18:09から。
さっそくその曲の音源を入手しようと試みた。
(続く)


電子音楽in JAPAN

電子音楽in JAPAN