「シン・ゴジラで始まり3776で終わった私のお盆」2016年8月15日(月)3776 ワンマン・ライヴ@新宿LOF

2016年の私のお盆は8月12日(金)の仕事帰りに、ネット上でも評判の「シン・ゴジラ」を観ることから始まった。

ゴジラ」映画にも「エヴァンゲリオン」シリーズにも疎かった私にとって、最も印象深かったのは、「記憶の中の映像」と「映画の映像」とのリンクだった。

冒頭の東京湾に漂流する無人のクルーザーは、私の大好きな、ルチオ・フルチ監督のゾンビ映画サンゲリア」を思い出すし、ゴジラ第2形態の「蒲田くん」の上陸・破壊シーンは、東日本大震災津波を思い出した。

そういう一つ一つの細かい映像だけでなく、あの大地震の「個人的体験」は、ゴジラが襲ってくるという映画の中の体験とリンクせざるを得ない。あの地震が発生した時の場所、状況、立場は人それぞれ違うものだが、その「個人固有の記憶」が、同じスクリーンを観ても、それぞれ別のゴジラを「体験」する。そのような構造になっていると思った。

地震当時私は東京に住んでいたが、頻発する余震の体感、自分の居る場所から、なかなか収束しない原発からの距離感、節電のため暗くなった街の風景。そういう「体験」を持たない人が、この映画を観た感想は全く異なったものになるに違いない。私より過酷な体験をした人は、更に想像することも難しいぐらいに異なっているだろう。

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8月15日(月)仕事帰りに、新宿LOFTでの3776のワンマン・ライブ<盆と3776が一緒に来るよ!>を観に行った。

事前の告知により、新宿LOFTのメイン・サブの両方のステージを使用することや、メインステージには、主役の井出ちよのとゲストのamiinAしか出演せず、サブステージには、3776やTEAM MIIの旧メンバーのゲスト(まりりん、すみれ、れなひら)と石田彰氏自身だけが出演することが、判明していた。果たしてどのようなライブになるのか?*1


当日、遅れて到着したため、「デジタルネイティヴ」の頭から観ることになった。以下終演まで全てサブステージからの報告である。

★今回はちゃんとやります!リクエスト企画セクション
1. デジタルネイティヴ(第一位)
2. 旅ふぉとセレクション(第二位)
3. 温暖湿潤山ガール(第三位)

イントロに被せて、小ネタを入れた、まりりんによる曲紹介が秀逸(笑)。往年の「ザ・ベストテン」を観ているかのようだった。曲中、卓前の石田氏が踊りまくり、まるで掟ポルシェ氏のDJのようだった(笑)。

★井出ちよのセクション
[SE] もうすぐ高校生活〜Introduction
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : 小動物系女子」(友情出演 : れなひら)
4. ハートの五線譜 [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : ギャル子」(友情出演 : まりりん)
5. ギャル子大ピンチ! [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : 女子力高め女子」(友情出演 : すみれ)
6. カードリーダー [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : イケメン女子」(友情出演 : れなひら)
7. 授業は今日も [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : でしゃばり女子」(友情出演 : まりりん)
8. さらば高校生活 [ 井出ちよの ]

高校生になった井出ちよのの可能性パターンそれぞれを、ゲストがサブステージで演じる。その後、メインステージで、井出ちよのがそれぞれのパターンをテーマにしたソロ新曲を披露する流れだった。

メインとサブのステージのそれぞれの観客は、他方のステージを生で観ることができない。モニター越しにだけ他方のステージを観ることができる。それは、無数にある可能性世界のひとつしか実際に生きられない「宿命」を実感するようであり、モニタ越しでしか見られない他方のステージは、まるで目を閉じたときにしか見ることができない夢のようだ。


ちよのソロ新曲の音源には、石田氏以外のミュージシャンも参加しているそうだが、新曲群は今までと比べてややテクノ色が多めだが、相変わらず歌いにくそうなw石田節が満載。少し気になったのは、初見で「ぽかん」としてしまうような(笑)尖がった曲は今回は無かったように思う。井出ちよのソロデビューということでさすがの石田氏も売ることを意識したのだろうか?


特筆すべきは、寸劇のバックで、石田氏がガットギターとルーパーを使って、それぞれの新曲のインストバージョンを演奏していたのだが、素晴らしかった。ボサノヴァ調の石田ソロインストバージョンによりメロディの美しさが際立っていた。「ギャル子大ピンチ!」というタイトルなのに(笑)。これが今後音源化されることはないかもしれない。3776「ニュートラル」辺りを思い出してもらえればよいと思う。石田氏の音楽的ルーツに関する興味も、個人的にはひと段落したのだが、ボサノヴァ・ギターというのは重要かもしれない。


9. 時空ラブレター〜アフター大噴火の世界の君へ〜[ Full Version ](+amiinA)

今日のもうひとつのメインは「時空ラブレター」のアルバムフルバージョンのライブ初披露だった。

メインステージでは、ちよのとamiinAがダンスのコラボを披露し、同時にサブステージでは、石田氏が、ちよのの声に思いっ切りエフェクトを掛ける。

曲が半ばのメロウなパート(ラブレター)に進むと、ちよのとamiinAの素晴らしい掛け合いのラップとコーラス。それを受けて、石田氏が激しいギターソロに突入する。

静かに曲が終わった後、少し間があってからの大歓声。サブステージでは「アキラ!」の掛け声が次々上がる。

史上最もイカレたアイドル・ソングを堪能した。

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3776のことを知らない人に説明するのは難しい。今は何でありのアイドル界にあっても、ここまで突き抜けているものは他にない。
この日の映像が今後DVDやBlu-rayで発売されても、それを観ただけでは、どれだけ伝わるだろうかと思う。まさに「体験」と呼べきライブだった。

今日のライブを体験した者同士なら、「あのライブのあそこのあんな感じ」という言葉でコミュニケーションできるかもしれない。
どんな分野であれ、ありきたりでないものを作ろうとする野心的なクリエーターが今日のライブに参加していたら、確実に影響を与えたのではないだろうか?
予言的に言うと、「石田彰」というジャンルが広く認知されるライブになったのではないだろうか。今後「石田彰チルドレン」が登場するかもしれない。
そんな予感を強く感じる素晴らしいライブであった。


〈盆と3776が一緒に来るよ!〉セットリスト*2
[SE] 盆唄音頭
★今回はちゃんとやります!リクエスト企画セクション
1. デジタルネイティヴ(第一位)
2. 旅ふぉとセレクション(第二位)
3. 温暖湿潤山ガール(第三位)
★井出ちよのセクション
[SE] もうすぐ高校生活〜Introduction
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : 小動物系女子」(友情出演 : れなひら)
4. ハートの五線譜 [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : ギャル子」(友情出演 : まりりん)
5. ギャル子大ピンチ! [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : 女子力高め女子」(友情出演 : すみれ)
6. カードリーダー [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : イケメン女子」(友情出演 : れなひら)
7. 授業は今日も [ 井出ちよの ]
[寸劇]「高校生になった井出ちよの : でしゃばり女子」(友情出演 : まりりん)
8. さらば高校生活 [ 井出ちよの ]
★ゲストセクション(amiinA)
amiinAの曲目は割愛
★+amiinAセクション
9. 時空ラブレター〜アフター大噴火の世界の君へ〜[ Full Version ](+amiinA)
10. 3.11(+amiinA アンコール)