ヤスタカよりPerfumeの方がファンキーだ!

数日前にこのエントリーに書いたPerfumeの「ナチュラルに恋して」についてですが、あれから何かしっくり来ない気がしてならなかったので続編を書きます。何がしっくり来ないかというとあの曲を「ファンク」と言い切ってしまっていいのかという疑問です。その時にも影響を指摘したScritti Polittiの別の曲を聴いてください。
Perfect Way - Scritti Politti

ボーカル以外は、明らかに「黒っぽく」て「ファンキー」です。素直にノレます。

さらにそれをジャズの帝王マイスル・デイビスがカバーするとこうなります。
Perfect Way - Miles Davis

シンセの音がやや80年代臭いですが、リズム的には「真っ黒」です。つまりファンキーさが増したということです。

どうですかね?感じてもらえてますか?
話を明確にするため、「ファンキーな」「黒っぽい」曲とは、"拍子の裏を強調することによりリズムに独特のゆらぎが発生する"曲として定義しておきます。縦ノリ/横ノリで言うと「横ノリ」の方ですね。

上記の曲は、黒人がやってたり、いかにもそれっぽい曲なので、ファンキーな「要素」を明確にするため、もっとシンプルな曲を例にとります。
Europe Endless - Kraftwerk

私が初めて買ったクラフト・ワークのCD1曲目がこれで、「ドイツ人、めちゃくちゃファンキーじゃん!」と驚きました。最初に聴いたときは1:45以降のハイハットが裏で入る所からそう感じました。往年のディスコの曲でよくあるパターンですね。裏を強調することでリズムにゆらぎが生じています。
さらに、私の個人的感覚による記述ですが、繰り返しこの曲を聴いていると、そのうち慣れて来てもっと前の1:26くらいのベースが入ったところから裏拍を意識してファンキーに感じるようになります。(ベースが跳ねたフレーズなので裏拍が意識されます。)さらに慣れてくると、ベースが入るもっと前からファンキーに感じてきます。聴く側の脳がまだ発声されてない音を補って聴いているような感じがします。

では、ベースとドラムがファンキーなら曲がファンキーになるのか?そうとは限りません。
Controversy - Prince

ドラム(バスドラ)は完全に4つ打ちですが、ギターのカッティングが細かく16ビートで刻まれて曲全体としては非常にファンキーなノリです。

つまり、どんな音要素やその組み合わせでファンキーになるかはその曲次第ということになります。一般的にはベースとドラムがその要素のことが多いですが。

では、これを前提に「ナチュ恋」をもう一度聴いてみます。

具体的にどの辺りが「ファンキーでない」or「独特のゆらぎが生じていない」or 「ナチュラルにノレない」かと言うと。
■0:57〜1:03辺り:もうちょっとどうにかならなかったのかと、もどかしくなります。
■2:12辺り:溜めたというより、菊池成孔風にいうと情動が止まったようにも聴こえます。
■3:05辺りも同様。
どうですかね?皆さんはどう思われますか?
上記に書いたように、何度も聴いて慣れてくるとまた聴こえ方も変わってくると思います。私も今後自分の聴こえ方がどう変わるのかなとちょっと楽しみです。既に一番最初にサビだけを聴いていた時とフルで聴いた時とで印象が変わってきています。CDの音質で聴けばそれも印象を変える要因になるでしょう。

さて、何度もこの動画を見ていて、ふと思いました。音を消して動画だけ見るとどうなるのか?音楽に合わせてダンスが成立するなら、逆にダンスから音(リズム)を感じることもできるはず?実際に音を消して動画を見てみました。
結果は「Perfmeのダンス、ファンキーじゃん!」と思ったわけです。具体的な所は。
■1:00辺りのあ〜ちゃん
■0:34〜0:44の3人
■1:35〜2:04の3人
■2:36〜2:57の3人

特に※の部分は音的にファンキーでないと感じた所ですので、「ヤスタカ VS あ〜ちゃん」は、あ〜ちゃんの勝ちと判定しました(笑)。

この曲がファンキーに成り切れなかった理由は、おそらく中田ヤスタカの資質と意図的なものの両方があったと推測します。従来横ノリのクラブをエレクトロで縦ノリに変えてしまった男の一人が中田ヤスタカですから、元々ファンキーな音を作る資質の音楽家ではないわけです。capsuleや他の提供曲にもファンキーな曲というのはあまり無かったですからね。また意図的というのは、他の音楽家・特に和製ソウル、R&B系の音楽家との差別化を創作活動の中で図ってきたし、現在もそれは継続中ということだろうと思います。別の言い方をすると単にひねくれてるだけかもしれません(笑)。

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