3776(みななろ)の新作CDレビュー:アイドルという自由、アイドルという不自由(2)

続いて、3776(みななろ)の各新作CDの収録曲を紹介していこう。

「心配のタネ」(NAMA-0005)

1. 心配のタネ
ライブで披露されてきたバージョンにイントロが加わっている事にまず驚く。Mixもかなり変わった印象。Bメロ以降の見事なギターオーケストレーションは、Led zeppelin "Achilles Last Stand" や U2 "The Unforgettable Fire"など、ロックにおけるギターオーケストレーションの伝統を踏襲していると思う。そしてファズの効いたオルガンは、カンタベリージャズロックを彷彿させる。歯切れの良いギターのカッティングと、乾いたスネアの音が本当に気持ち良い。さらに、種をネタにしたイマジネーションを刺激する歌詞が乗る。1曲目から圧倒される。


2. もぇもぇ片想い
イントロの演歌風のフレーズはEspeciaで言うと「X・O」。ライブの初期のバージョンではもっとユーロビートやパラパラ風だったが、CD版ではかなりその色は薄まった印象。迫ってくるようなシンセの音は Yes "Roundabout"を思い出す。「まりいけてる」=「マイケル」をはじめとした言葉遊びも面白い。「チーン」というSEと歌詞の内容がある意味不謹慎なのだが、そういう毒があるところも3776の魅力のひとつだ。


3. ニュートラ
美しいギターのアルペジオAphex Twin ばりの歪んだリズムトラックの対比。「大好き」と「大嫌い」との間で揺れ動く少女の心。それらを超越した300年の重み。そんな歴史に耐えうる名曲。


4. Neutral -bossa style-
全くの初披露曲。「ニュートラル」が日常に潜む「悟り」の世界だとすると、この曲は煩悩の火が消えた涅槃の世界である。「ボサノヴァでも宇宙に行ける」と言った人は誰だっただろう?3776ではニルバーナ(涅槃)に行けるのだ。「美しい」という言葉では表しきれない世界がそこにある。曲が終わった後はため息ばかりがこぼれ落ちる。


5. 心配のタネ[Instrumental]
6. もぇもぇ片想い[Instrumental]
7. ニュートラル[Instrumental]
どの曲もインストだけでも聴きごたえがあることは言うまでもない。